常盤群島の大部分は,温暖湿潤気候に属する。
春夏には,東洋から南東の風が吹く。
南の海上を行く風は,温度が高く,蒸発した海水をふくんで湿り気も帯びている。
この風は,晩春から初夏にかけて,北海方面の冷たい風と闘う。
それは,まさに前線であり,冷やされた湿った風は,雨を降らせる。
梅雨である。
やがて北海の風が,北へ引き上げると,梅雨も明けようやく夏である。
そして東洋の海水をたっぷり含んでやってくる風に支配される常盤の夏は,
湿度が高い。
そして,秋,一旦引き上げた北海の風が,帰還してくる。
また,東洋の風と北海の風のぶつかり合いとなる。
このぶつかり合いは,秋雨を呼ぶ。
南海から台風の到来するころであり,豪雨になることもある。
さて,冬。
風は,北東,大陸側から吹いてくる。
本来,陸側から吹く風は,水分を含む要素も少ないので乾燥しているが,
大陸と常盤群島の間には,常盤海がある。
大陸の乾いた風は,
常盤海でたっぷり水分を補給して常盤群島にやってくるのだ。
気温の低い時節でもある。雨ではなく雪になる。
河首地方沿岸部や湾陰・湾陽は豪雪となる。
その一方で,亜北地方や北海諸島は,冷帯湿潤気候に属し,
南海諸島や礼栄列島北部は亜熱帯気候,
南部には熱帯雨林気候も見られる。
常盤群島は,「水」にとにかく恵まれた地であり,
気候の多様性も相まって,生命の宝庫となっている。