亜州遠征

亜州討伐にあたり,順正帝は,海西地方の水奈府(みなふ)に行宮を設けた。

広奈軍の総指揮をとるのは,
帝室に連なる名門諸侯 上原詮真(うえはら・あきざね)である。

上原詮真率いる広奈軍の目標は,長門半島の久礼(くれ)。

日生国の都である。

久礼を孤立させるため,まず,広奈軍は,長門半島の諸都市を攻め落とした。


ところが,当の久礼は,広奈軍を寄せ付けない。

なにしろ日生国の首都艦隊は,
全常盤最強である。

先に攻め落とした長門半島の諸都市とは,格が違う。
海上からの攻撃はことごとく失敗した。

また,久礼は厳重な総構えを持つ大都市であるだけに,
陸上からの攻撃もやはり,難航を極めた。
長期戦となり,
やがて冬将軍が到来する。

天は,日生国に味方した。

この年には,大寒波が猛威を振るったのである。
広奈軍は困窮した。

そんな中,緖土国軍が日生国に援軍を寄こしたのである。

上原詮真がかろうじて亜州内にとどまり,
なんとか総崩れを防いでいる様子は逐次,
水奈府の順正帝のもとへ届いた。

ついに帝は,詮真に亜州からの帰還を命じる。

だが,無事,水奈府にまで帰りつけた広奈兵は全体の半数であった。
日生海軍と緖土水軍が,帰還途中の広奈船団を強襲したからである。

こうして順正帝が命じた最初の亜州遠征は,
散々な結果で幕を閉じることとなった。

しかしながら,なおも順正帝は,亜州征服を諦めてはいなかった。