百二十九世の父 伯台神聖は,
神聖家の領国においては名君であった。

伯台神聖は,男子に恵まれなかった前の神聖 花宮神聖[諱は,由慈(よしちか)]によって,
聖族の中からその聡明さを見込まれて養子に迎えられた人であった。

聖族とは,「神聖」の血族のことである。

神聖家も瑞穂皇帝位同様,男系継承であるが,
神聖家の男系継承が絶えないように,いくつも別家が建てられて,
格付けされている。

しかし,神聖の血族でも
聖族「外部」に別家を立てて独立させられる場合がある。

瑞穂皇帝でいうところの「臣籍降下」のようなもので,
この場合は,「神聖位」の継承権を喪失し,「聖族」から外れる。

もちろん伯台神聖は,聖族の千楽家の出身である。

千楽家の格付けは高いとは言え,第一ではなかった。

しかし伯台神聖は,花宮神聖に見込まれて養子となり
聖太子に立てられたのであった。

皇帝に対する皇太子のように,
神聖を継承する者を「聖太子」と称するのである。

伯台神聖の義父 花宮神聖の時代には,
ペルトナやイストラの常盤への来航が始まったころであった。

花宮神聖は,舶来趣味であり,
西洋の文物の領国内への導入に熱心であり。
ペルトナやイストラとの交易が盛んになる。