海西平定

海西に上陸した日生軍は,内陸への侵攻を開始した。

わずか3日で,日生軍は安達家本拠 水奈府に迫る。

既に美城神聖も先鋒諸隊につづいて海西へ渡海し,水奈府包囲の本陣にあった。

水奈府は,その日の内に陥落する。

水奈府の内部にいた緒方哲彰が,日生軍を引き入れたのである。

緒方哲彰は,うまく正治・玄尋主従の信頼を勝ち取って,
安達家への埋伏に成功していたのであった。

正治・玄尋主従は,西を指して落ち延びていったが,速水の地に滞在していたところ,
日生軍に内応した瑠璃光誠充(るりこう・まさみつ)によって攻められる。

正治・玄尋主従は,自害して果てた。

安達正治の長男 智治は,蕗屋要(ふきや・かなめ)・南師廉(みなみ・もろかど)・由廉(よしかど)父子・有間久続らとともに,
首内へ逃れて態勢を立て直そうとしたが,瑠璃光誠充がその進路を遮ろうと密かに動く。

この動きを察知した智治主従は,誠充に奇襲攻撃をかけて,父の仇を討ったが,
瑠璃光氏の余党や日生軍の勢力を冷静に分析して,予定通り首内地方へと落ち延びた。

日生軍の海西平定は速やかであった。

香耶秀治・御月高任・桃生由存(ものう・よしなが)は,
松田泰廉・則廉父子を討ち取り,砂岡・伴瀬を7日で攻略。

世礼集・原政人・安城密(あんじょう・ひそか)は,
宇奈月嘉(うなづき・よしみ)・福科智候(ふくしな・ともとき)を降して,
青綾・初瀬を10日で制圧。

また,速水・双見では,聖君家の松本敬古(まつもと・たかふる)・飛良遊暁・鞠谷凌(まりや・しのぐ)が,
秋山政直・政良父子・斎藤友成の抵抗を退けて降伏させ,
鈴見地方に拠る,馬宮朝国・大月家恒は,奈瀬能平・沢木基・栗栖泰治が討滅した。

ところが,神聖の従弟である浅宮高臣が,舞丘・赤音の攻略を果たしながら,
早良明良との赤音湾上での戦いで,銃弾を受け,その傷が元で亡くなってしまう。

塔摩で抵抗を続ける早良明良に対し,
美城神聖は,後藤信暁・皆実速和(みなみ・はやかず)らとともに親征し,降伏させた。

従弟を失って大いに嘆き悲しんだ美城神聖であったが,
早良明良に対し,

「あなたは,稀代の賢将であり,あなたを失うことは,重大な損失である。

既に我が従弟はこの世にいない。

私怨によってあなたに害を加えれば,
従弟とあなたと海内の賢将が一度に二人も失われることになる。」

と,その降伏を認めたという。