中泊の戦い

外城救援に赴く道中,上村晴生は,

「私は十中八九,小島長友は中泊へ出てくると考えております。

中泊の早将軍(早智伯)などは,
長友を存分に叩いて一気に湯朝を平らげることを考えておいででしょう。」

と述べた。

太子はこれには少し驚いて

「湯朝とは長年争い,常に一進一退であった。一戦で決まるものであろうか。」

と疑問を投げかける。

晴生は,

「これまでとは違います。

長友には山奈父子のような徳も才覚もありません。

それ故,湯朝をまとめることは難しく,
まして戦に敗れれば一気に長友から人心が離反するでありましょう。

湯朝は割れるばかりとなります。

この一戦を契機として一気に湯朝を平らげることは可能です。」

と言った。

小島長友はやはり,外城征伐へ向かう途中で本隊を転進させ,
中泊へ向かった。

しかし,中泊を守っていた春成皇子は側近の早智伯の進言により,
中泊の郊外に伏兵を配して長友を待ち受ける。

春成皇子の軍は大勝した。

小島長友は,乱戦のなかで斬り死にする。

湯朝軍は壊滅と言ってよかった。